診療放射線技師には将来性があると思いますか?
私の答えは、「ある!」です。
私は国立大学を卒業後、大学病院で10年以上勤務しています。
そんな私の経験と知識に基づいてお伝えします。
この記事では、診療放射線技師に将来性がある理由をお伝えします。
最後には、「将来性がなくなる診療放射線技師もいる」こともお伝えします。
進化し続ける放射線機器
各医療機器メーカーの努力のおかげで、放射線機器はどんどん進化していきます。
毎年のように新しい機能が追加されたり革新的な装置が発売されています。
最近では放射線分野にもAI技術が導入されてきています。
100年以上歴史のあるレントゲン撮影でも、アナログフィルムからデジタルに変わり、さらにX線検出器の画像化の効率が上がったことで被ばく線量を低くしても高画質な画像が得られるようになってきています。
そのため、それらの機器を使いこなすための診療放射線技師は必要不可欠です。
AI技術により診療放射線技師が担っていた作業は置き換わってくる可能性があります。
しかし、それは「作業」であり「技術」ではありません。
むしろ、診療放射線技師の手を必要としていた「作業」に追われることがなくなり、より「技術」を磨くことに力を注ぐことが可能となります。
今後も医療が発展していくのと同時に診療放射線技師の役割も重要になっていくと思います。
女性に特化した検査の増加
マンモグラフィや乳腺エコー、乳腺MRIなど女性に特化した検査が増加傾向です。
女性における部位別のがん罹患数は1位が「乳がん」です。
そのため、乳がんに対する健診・検査の需要が高いのです。
以前より、乳房の検査と言えば「マンモグラフィ」でしたが、「エコー」がセットで行われるようになってきました。
さらに、MRIやPETでもさらに乳房の検査を精査することができるようになってきました。
そのため、より精密で早期に乳がんを発見することが可能となりました。
検査技術向上→早期発見→がん罹患数(発見数)増加→検査需要増加、といったスパイラルになっているため、ますます検査を行う診療放射線技師も必要となっていきます。
タスクシェア・タスクシフト
2024年4月、厚生労働省より「医師の働き方改革」が発令されました。
その中に、「他職種へのタスクシェア/シフトの推進」というものがあります。
そのため、診療放射線技師も数年前からタスクシェア/シフトを行うための研修が開始されました。(新たな診療放射線技師法が2021年10月1日より施行)
その研修を受けることで、いままで医師が行っていた業務の一部を診療放射線技師が行えるようになります。
一番大きな変化は、「造影剤を使用した検査やRI検査のために静脈路を確保する行為」だと思います。
たとえば、「造影剤を使用したCT検査を行うとき、肘あたりの静脈に注射して点滴のような管を繋ぐこと」です。
診療放射線技師は、看護師や臨床検査技師とは違い「注射」をしない職種でしたが、そこが変更されたということがとんでもないインパクトと与えました。
今後も、タスクシェア・タスクシフトは進んでいく可能性もあります。
そのたびに診療放射線技師の業務は拡大していくため、需要が増えていくことになります。
患者数は減らない
日本は高齢化率が進み、「超高齢社会」と呼ばれています。
そして、病院の患者はほとんどの方が「高齢」です。
高齢者が増える日本では、病院に来る患者は増えることが容易の想像できます。
患者数が増えれば、検査数も増え、診療放射線技師の出番も増えることになります。
これはあくまでも可能性の話ですが、AIの発達により、予防医療がかなり進歩すると言われています。
それが検診の需要を高めることになるかもしれません。
検診では画像検査も必要ですので、このことからも診療放射線技師の需要は増える可能性があります。
将来性がない診療放射線技師とは
放射線技術は日々進化しつづけています。
新しい機能が付いた機器が次々販売されていきます。
診療放射線技師としてそれらの機器に対応して、自分自身の知識・技術を向上させていく必要があります。
しかし、医療機器メーカーの努力のおかげで、機能を完全に理解してなくても操作方法だけわかっていれば診療放射線技師は検査ができるようになっています。
乱暴な言い方をすれば、スイッチだけ押せれば検査ができるのです。
そのことに甘んじて成長しない(成長しようとしない)診療放射線技師はたくさんいます。
しかし、時代の変化は今後もますます速くなっていくことが予想されます。むしろ、もうすでに速くなっています。
そのため、成長しない診療放射線技師は、機器の操作方法がわからなくなり、いままでできていた検査でさえもできなくなっていきます。
実際に、私が働く職場では、新しい装置に変わり「できない」といってその業務をやらない人がいます。そういう人は以前からあった古い装置でしか業務ができません。
今後、「タスクシェア/シフト」も進んでいくと、成長しようとしない診療放射線技師の業務内容はますます縮小していくと考えます。
そのような診療放射線技師は「将来性がない診療放射線技師」と言わざるを得ません。
日頃から成長することを考え実践していれば、今後も需要のある診療放射線技師になっていけると思います。
以上が、私の考える「診療放射線技師は将来性がある」理由です。
この記事を見て「診療放射線技師の将来は明るい」「診療放射線技師になりたい」と思う人が増えてくれることを願っています。
ほかにも診療放射線技師についての記事を書いていますのでそちらもご覧下さい。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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