診療放射線技師が仕事に飽きたり、辞めたいと感じる理由には、いくつかの共通した要因があります。
しかし、その理由だけで「飽きる」「辞めたい」と思うのはとても浅はかでもったいないものも多くあります。
この記事では辞めたい理由の真実や反対意見を説明します。
いま診療放射線技師として働いている人や今後診療放射線技師なろうと考えている人にとってなんらかの”ヒント”になるかと思います。

私は国立大学を卒業後、大学病院で10年以上働いている診療放射線技師です。
長年培ってきた私の経験や、若手スタッフや他施設の人から聞いたことを元にして、私独自の意見を述べさせていただきます。
最後までお付き合い下さい。
ネット上にある、「飽き」の原因や辞めたい理由は以下のようです。
- 仕事が単調でルーチン化しやすい
- 患者との関わりが浅い
- 人間関係が固定化されやすい
- 体力的・精神的な負担
- キャリアの広がりが限定的
- 放射線に対する誤解や偏見
それぞれについて深掘りしてみます。
仕事が単調でルーチン化しやすい
医師からのオーダーに対して「いつもと同じ画像」を提供するのが主な仕事の一つであることは間違いありません。
しかし、「いつもと同じ画像」を得るための撮影条件、画像処理などはその分野が得意な先輩やメーカーさんが設定してくれたものです。
そのおかげで「いつもと同じ画像」ができるのです。
なぜこの撮影条件なのだろうか、この画像処理パラメーターはなんのためにあるのだろうか、この機能はなにに役立っているのだろう、などと考えるとキリがないほどまだわかっていないことも多くあります。
そのようなことを考えたり学んでいくと、この撮影条件や画像処理に変えた方が被ばくも減って画質もよくなるかも、とか、この患者さんの病態ならこっちの条件のほうが”よく見える”かも、ということがわかってきます。
すると、ルーチン化してマンネリ化しやすい検査でも、おもしろくなって飽きることはなくなります。
さらに、いままでよりも”いい画像”を提供することで、医師からいい評価をもらえることや一目置かれることもあります。
患者との関わりが浅い
患者との関わりは長くても数分です。
検査の待ち人数が多い場合では、患者さん一人一人にじっくり話をしている時間などありません。
しかし、患者さんにとっては病気がわかるかもしれない大事な検査なのです。
そのため、たとえ数分だけの付き合いかもしれませんが、患者さんに寄り添い最適な検査をするように心がける必要があります。

一人の患者さんと深く関わりたいのであれば、看護師や理学療法士、作業療法士になることをおすすめします。
人間関係が固定化されやすい
小規模の病院(病床数が少ない病院やクリニック)では診療放射線技師は数名しかいません。
そこで人間関係がこじれるとストレスが多いかと思います。
しかし、同程度の規模であれば再就職先は見つかります。
再就職には年齢や経験値によって優劣はありますが、診療放射線技師の免許は永久ライセンスなので、無資格の人に比べれば再就職先はあると思います。

私の職場は診療放射線技師の数が多いため、めったに会わない人もいます。
もし人間関係がこじれても、担当部門を変えることが可能です。
体力的・精神的な負担
救急対応や夜勤だけでなく、移動が困難な患者さんを検査台へ抱えて移すことや、入院患者さんのポータブル撮影など体力的にたいへんな業務もあります。
しかし、その業務は「適度な運動」程度であり健康的に過ごせすことができます。
総合病院の診療放射線技師は男性のほうが多いため、女性で力不足を感じるときは男性に力を借りることが可能です。
看護師はほとんどが女性のため、どんな場面でも女性のみで行うことが多いため、診療放射線技師に比べて体力的にはたいへんかと思います。
精神面においては、「撮影ミスが診断に直結する」とありますが、最終的に診断をするのは医師です。
医師の誤診に対するプレッシャーに比べればたいしたことではありません。
そんなプレッシャーを苦に思うのであれば、ただのスイッチを押すだけのロボットで充分だと思います。
キャリアの広がりが限定的
独立開業できないのは、看護師と同じです。
開業したいのであれば医師や歯科医師、理学療法士などになり整体の店を開く必要があります。
大規模の病院であれば、サラリーマンの平均以上は給与アップしていきます。
クリニックなど小規模の病院であれば給与アップは少ないかもしれませんが、残業や夜勤がほとんどないため、サイドビジネスに充てる時間が充分にあります。
その場合、サイドビジネスに充てる時間は通常のサラリーマンと比べると多いと思います。
自由な時間の過ごし方でキャリア・お金・生活の充実感はかなり変ってきます。

私の職場でも趣味を持っている診療放射線技師はたくさんいます。
時間もお金もゆとりがあるのだと思います。
放射線に対する誤解や偏見
診療放射線技師になる過程で、放射線とはどんなものか、防護(放射線から守る)の方法などを学ぶことができるため、何が危険で何が安全がわかるようになります。
むしろ、診療放射線技師になる本人が、家族や周りに放射線は危険ではないことを説明できなければいけないと思います。

私は心配されたことが一度もありません。
ネット上では以下のような回答もありました。
💡 飽きやすさを乗り越えるには?
- 新しい検査技術や専門分野(マンモグラフィ、放射線治療など)に挑戦する
- 教育・研究・管理職など、キャリアの幅を広げる
- 他職種との連携を深め、チーム医療の中での役割を再認識する
たしかにそのとおりだと思います。
今は、タスクシフト・シェアも広がってきており、今まで医師や看護師が行っていた仕事も診療放射線技師が一部を担うことも始まりました。
さらに機器が高度してきているため、より専門性が高まったいます。
「飽きた」「つまらない」などといって学ぶことをしなくなれば、どんどん機械に置いてけぼりにされてしまいます。
そのため、新しい技術や専門分野に挑戦し続ける必要があると思います。
大学病院がメインになりますが、教育や研究は診療を行う上でとても重要になります。
特に研究は、最新技術を取り入れることだけでなく、既存の装置で知らなかった機能があった、とか、ちょっとした工夫で被ばくを減らすことができた、など放射線技術に対する知見が広がります。
研究というとハードルが高いようにも感じますが、まずは学会に参加してみるだけでもよいです。
ということで、ネット上にある、診療放射線技師の仕事に対する「飽き」の原因や辞めたい理由について私なりの意見をダラダラと書かせていただきました。
この記事が、いま診療放射線技師として働いている人や今後診療放射線技師になろうと考えている人へのなんらかの”ヒント”になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
タカ
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