みなさんこんにちは。
日々の業務の中で、後輩の若い技師からよく相談されるのが「小児のX線撮影」についてです。「子どもが泣いて暴れてしまい、うまく撮影できない」という悩みは、誰もが一度は通る道ではないでしょうか。
今回は、長年の現場経験と、私自身の子育て経験から見えてきた「小児X線撮影で心がけるべきポイント」についてお話ししたいと思います。

私は国立大学を卒業後、大学病院で10年以上診療放射線技師として勤務しています。現在は、臨床業務と管理業務を行う、部門責任者の立場で日々精進しております。
泣いて暴れるのは「当たり前」
まず大前提として、3歳までの子どもは泣き叫んで暴れるのが普通です。薄暗くて大きな機械がある見慣れない部屋に連れてこられたら、誰だって怖いですよね。特に男の子の場合は、4歳になっても大暴れすることが珍しくありません。
実は私自身、若い頃は子どもがあまり得意ではなく、小児撮影には強い苦手意識を持っていました。
「どうして言うことを聞いてくれないんだろう」「早く撮影を終わらせなきゃ」と焦り、心の中でイライラしてしまうことも。今振り返ると、私のそのピリピリした空気や焦りが子どもにも伝わって、余計に不安にさせていたのだと反省しています。

転機は自分の「子育て経験」
そんな私の転機となったのは、自分自身が子育てを経験したことでした。
我が子が思い通りに動かない日常を経験することで、「子どもはじっとしていられない生き物だ」ということを理解できたのです。職場の「お母さん技師」たちが小児撮影をとてもスムーズにこなしている理由も、ここにあるのだと思います。
小児撮影に入るときは、診療放射線技師というよりも「保育園の先生」になったつもりで接することが大切です。子ども目線に立ち、安心感を与える存在になるよう心がけています。

声かけは「優しく・穏やかに・ポジティブに」
具体的なテクニックとして一番大切なのが「声かけ」です。
声のトーンはとにかく優しく、穏やかに。そして、使う言葉は徹底的にポジティブなものをチョイスします。
「すごいね!」「上手だね!」「一緒にがんばろうね!」と、とにかく褒めて励まします。
ここで絶対に避けたいのが、撮影後のネガティブな声かけです。
泣いている子どもを見ると、つい慰めのつもりで「イヤだったね」「怖かったね」と言ってしまいがちですが、これはNG。なぜなら、「やっぱりレントゲンはイヤなことなんだ、怖いことなんだ」という記憶として子どもにすり込まれてしまい、次回の撮影時により強い抵抗を生んでしまう可能性があるからです。
終わった後は「よくがんばったね!かっこよかったよ!」と笑顔で声をかけるようにしましょう。

スキンシップで安心感を
言葉だけでなく、身体的なアプローチも有効です。
撮影の前後や、どうしても落ち着かない時は、抱っこして背中を優しく「トントン」してあげるだけでも、子どもの緊張はスッと和らいだりします。
お父さんやお母さんから離れて不安な気持ちを、少しでも和らげてあげることが、結果的にスムーズな撮影(被ばくの低減や再撮影の防止)に繋がります。

まとめ
小児X線撮影は、技術だけではなく「心を通わせる」ことが求められる奥深い検査です。
ポジショニングや撮影条件だけ理解していても、質の高い安全な検査はできません。
若い技師さんたちには、焦らず、まずは子どもに寄り添う気持ちを大切にしてほしいと思います。
この内容が少しでもみなさまの役に立てると幸いです。
タカ

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